THE WORLD - Tokachi | 障がい者の創作活動の⽀援、展覧会の開催及び作品の販売等

SEIZE THE DAY「THE WORLD」Report-23

「THE WORLD」プロジェクト3年目 -消えゆく恐怖心-

2025年の今年、2人だけで始めるにはムリ目で壮大過ぎる「THE WORLD」プロジェクト。開始から気がつくと3年の月日が流れていた。当初、6ヘクタールの畑を前にし、正直言うと、足がすくんだ。巨大過ぎるトラクターや農機具。倉庫内の土の匂い。畑に吹き荒れる強い風。歴史を刻みすぎている敷地内の一軒家。見るもの触れるもの全てが怖かった。

毎日夜遅くまで圃場の整備やこれから使うトラクターの修理に明け暮れ、世界でたった一人、いや実際には二人きり、原野に放り出された気分だった。

物心ついてから人生の殆どを大都会で暮らした私たちにとって、あまりにも苛酷な労働に、肉体的にも精神的にもボロボロなった。帰りの車内では毎日のように妹が泣いていた。こんなこと始めちゃって…巻き込んでごめん。物凄い罪悪感に苛まれたこともあった。

あれから3年…「お姉ちゃん!長靴履く時どうしていちいち腰掛けるわけ?あれは私が取ってくるからそこで待ってて!」今日やるべきことや購入しなくてはならない備品などは、必ず妹が確認を入れてくる。すぐに忘れてしまう私のために。こうして私たちから恐怖という名の感情が薄れつつある。

人はどこまで変われるのか?子供の頃から病弱で潔癖症だった妹が、どんどん変わっていく。母一人で育った私たちの幼少時代は、母が父親、私が妹の母親だった。学生時代は彼女のお弁当を作って持たせていたのに…今では私を支える重要な人物になっている。

人生は、どこで、誰に、どんな形で助けられるか、棺桶に入るまで分からない。「あいつに世話になるなんて一生ないぜ!」と思っていたら大間違い!やんごとなき人々だって、たまたま行った旅先で震災にあって、しもじもの私に助けられることだってあり得る。

この事業を始め、今まですれ違うことさえ無かったような、異業種過ぎる人々に支えられている。「THE WORLD」は、来月頭に農地の半分が葡萄畑になる。何百本もの支柱を立てて、畑の景色が一変する。

あと何年頑張れば、次の世代へバトンを渡すことが出来るであろう?そんな日が来ることを夢みながら、日々泥だらけになりながら労働する中年の私たちは、側から見ると滑稽で笑える存在なのかもしれない。それでもいいと思っている。

多様な人々がここに集い、汗を流し、山や太陽や鳥たちと会話しながら生きる場所を作ることに残りの人生を掛けてみようと思っている。

ではまた次回のレポートまで、皆さまお元気で!

一般社団法人Arts and Creative Mind 代表理事 杉本志乃 
理事 萩中華世

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