収穫のあとに考えたこと
今年も残すところ2ヶ月弱。皆さまお元気でお過ごしでしょうか?
十勝は、もうすっかり秋です。朝、畑に出ると空気が冷たくて、「ああ、今年も終わりに近づいているな」と感じます。今年は初めてのぶどうの収穫に加え、先月無事に大豆の収穫を終えることができました。今年も大きな怪我や事故なくここまで来られたことを、本当にありがたいことだと思っています。
そして10月13日には、ぶどうの収穫祭をしました。この日は障がいのある方10名に参加していただき、ダンスなどもしてもらったのですが、皆さんが本当にものすごく楽しそうで。その姿を見ながら、ふと「人間にとって、本当の幸せって何だろう?」と考えました。
お金をたくさん持つこと。たくさん売れること。人より早く進むこと。何かで一番になること。もちろん、どれも悪いことではありません。でも、畑でみんなが笑って踊っている姿を見ていたら、もっと単純なところに幸せはあるのかもしれないと思ったのです。誰かと一緒に笑えること。自分の居場所があること。土に触れ、季節を感じること。そして、自分がしたことが誰かの喜びにつながること。
私たちは今、ものすごい速さで進んでいます。AIが世界を変え、できなかったことが、どんどんできるようになっていく。でも、便利になって、速くなって、その先に私たちは何を求めるのでしょう。もしかしたら最後に残るのは、「誰と、どんな時間を過ごしたか」なのかもしれません。
今年のぶどうは、まだほんの少し。ワインにできても数十本ほどです。でも、来年、再来年と木が育てば、本数も少しずつ増えていきます。いつかは海外にも、この土地から生まれたワインを届けてみたい。そんなことも考え始めています。まだ始まったばかりですが、せっかくなら、日本の外にも出てみたいと思っています。
ただ、私たちにとって、本数が増えることだけがゴールではありません。一滴のワインの向こう側に、この畑があり、この土があり、一年の季節があり、そこに関わった人たちがいる。そのことを感じてもらえるようなワインにしたい。「たくさん作る」より、「何を残すのか」。そんなことを考えながら、この畑を続けていきたいと思っています。
今月はいよいよ、ぶどうの木の剪定です。来年の姿を思いながら、今年伸びた枝を切っていきます。未来のために、今あるものを手放す。剪定をしていると、そんなところにも人間の生き方と似たものを感じます。そして今年は、熊よけの電気柵も購入しました。自然の中で生きていくには、恵みをいただくだけでなく、きちんと備えることも必要です。
人より多くなくていい。誰かより早くなくていい。ただ、自分たちが大切だと思うものを、大切に育てていく。そして、それを誰かと分かち合えたらいい。そんなふうに生きられたら、人生は案外、豊かなものなのかもしれません。
11月。畑は少しずつ静かになります。でも、土の中では、無数の命が、もう来年の準備を始めています。私たちもまた、次の季節の準備を始めます。
それでは今月も、
“SEIZE THE DAY – 今を生きろ”
一般社団法人Arts and Creative Mind 代表理事 杉本志乃 理事 萩中華世
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