THE WORLD - Tokachi | 障がい者の創作活動の⽀援、展覧会の開催及び作品の販売等

Strike Gold Art for “No Concept”-作為なき表現者たち@GYRE GALLERY

会期:2025年12月6日(土) – 1月25日(日) *12月31日、1月1日はGYREの休館日となります 1月2日は13時~営業となります
レセプションパーティー:12月5日(金)18時~20時
会場:GYRE GALLERY  東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE3F   Tel. 0570-056990 ナビダイヤル(11:00-18:00)
共催:一般社団法人Arts and Creative Mind + GYRE
入場料:無料
展覧会総合キュレーター・プロデューサー:杉本志乃(一般社団法人Arts and Creative Mind 代表理事)
アートディレクション:ヒロ杉山+Enlightenment
広報:HiRAO INC
特設サイト制作:mount inc.
映像:逢坂芳郎
協賛:大和リース株式会社
協力:十勝毎日新聞社・川田工業株式会社・株式会社高野ランドスケーププランニング・共働学舎新得農場・
株式会社ブルーバニーカンパニー・相澤ワイナリー(十勝) 
助成:公益財団法人ヤマト福祉財団

出展作家:遠藤弘司, 栗原玄, 有田京子, 水玉みり, 大場多知子, いしいこうた, RITSUKO, 中川ももこ, 中尾涼, 鳥山シュウ, 飯塚月, 水野貴男, 池田Justine, KOHARU, 齊藤瑛那, SAKURA, 中村朗子, 松永紬, 大串憲嗣, 齋藤裕一, 西田真緒, 岩井美和子, 大倉史子, 白田直紀, 成本忠臣, 金井亮介, 飯嶋萌, 中武卓

参加団体:あーとスペース”ぐるぐる”(帯広), アトリエライプハウス(大阪), YELLOW(大阪), 天才アート(京都), やまなみ工房(滋賀), 嬉々!!CREATIVE(神奈川), 工房集(埼玉), 西村陽平絵画教室(千葉)

Strike GoldArt for “No Concept”-作為なき表現者たち

街が華やぎ、心が浮き立つこの季節。タイトル「Strike Gold」には、未知の表現を前に新たな視点を得たり、心躍る体験をしていただきたいという思いが込められています。冒頭にひとつ、敢えてお伝えしたいことがあります。それは、障がいのある人の中でも特別に秀でた才能に光を当てることと、「ただそこにある命の尊さ」を伝えることとの間にある矛盾に、私たち自身、もはや無自覚ではいられないということです。

その狭間で揺れながら、アートだけでは補えない「全ての生命」と向き合う手段として、私たちは農業にも取り組み始めました。それでもなお、人が「自らを表現すること」は、時に生死に関わるほど重要であることを、日々表現の現場から学んでいます。本展は、2017年からGYRE GALLERYで続くシリーズで、今回で5回目となります。今改めて、これらの作品に内在する社会的宿命と芸術的価値について、考えを巡らす機会となれば幸いです。

一方、サブタイトルの「No Concept」は、2021年から私たちが提唱する、アウトサイダー・アート(既存の枠に収まらない多様な表現)を象徴する言葉です。現代アートでは「コンセプト=作者の意図」が重視されますが、この分野では、その常識が当てはまりません。日本では、作為を無くす、または極力排除することが、美の本質として重視されてきました。岡本太郎が美術的価値を見出した縄文土器、千利休が独自の美を求めて珍重した井戸茶碗、柳宗悦が愛した朝鮮雑器なども、いずれも作為の無さが魅力でした。世阿弥もまた、無心の境地に至るまでの困難と工夫について語っています。

本展の作家たちは、もともと作為のない場所から制作を始めています。ですから、無心の境地に達するために鍛錬を重ねる必要がありません。彼らの作品には、古来私たちが大切にしてきた自然への憧れや畏怖、そこから生まれる瑞々しさやダイナミズムが宿ります。技術的に未熟に見えるかもしれませんが、彼らにとって表現は生きる上で切実な行為です。その強度ゆえ、非常に力強い作品が多く生まれているのです。コンセプト重視の現代アートは、論理的整理や生産性を追求した時代の表現でもありました。それは、チャップリンが『モダン・タイムズ』で描いた、歯車の中で生きる人間の姿に重なります。そうした時代、障がいのある人々は「生産性の低い存在」として価値を貶められてきました。しかし今、彼らの自由で伸びやかな表現は、私たちの心を癒してくれます。どれだけテクノロジーが進化しても、人は自然の中で生きる有限な存在です。彼らのアートは、私たちが人種や性別、階級、障がいの有無を超えて「等しく幸せになる社会」を考える上で、大切な問いを投げかけてくれます。

本展に向け、主催者自ら全国を回り、時に倉庫の奥深くまで分け入って作品を発掘。作家、支援者、施設職員との対話を通じて、1点1点丁寧に選定しています。ここが作家たちの登竜門となり、その後アーティストとして活躍し始めている現状は、本当に喜ばしいことです。展示作品はすべて、アート作品として適正な価格で販売され、作家への経済的還元を通じて、多様な人々が活躍できる場の拡大を目指しています。

作家や来場者が、「予想外の幸運」や「貴重な出会い」にめぐりあう。
三方よしの「Strike Gold」。

無垢な心が生み出すアートが、あなたに、世界に、幸福をもたらす「第三の目」を開く。
そんな体験を多くの方と共有できたなら、主催者としてこれ以上の幸せはありません。

一般社団法人Arts and Creative Mind 代表理事 杉本志乃

※この展覧会は、公益財団法人ヤマト福祉財団の2025年度障がい者福祉助成金を受けて開催しています。