– 雪解けや 道あらわれて 旅はじむ –
「畑と大学院の二刀流(ちょっと寄り道編)」
最初に一つ、ご報告です。
この春から、大学院で学ぶことになりました。
ただ、今回の決断は、「スキルアップ」や「キャリアのため」ではありません。
むしろ—このまま進んでいいのか?一度立ち止まって考える必要があったからです。
私「そうだ、大学院いこう。」
妹「そうだ、京都いこう。」
私「いや、それは観光。」
妹「え、畑どうするの?っていうか今でも手一杯じゃない?株式会社モームリだ〜」
私「あそこの社長は逮捕されましたっ!」
……と、いつも通り、姉の暴走→妹激怒!を経ての進学です。
正直に言えば、迷いもありました。
これまで皆さまからご支援いただいてきたのは、農福連携の農場と、
そして長年取り組んできた障がいのある人のアート活動です。
その中で「さらに学ぶ」と言い出した私を見て、「大丈夫なのか?」
「今やるべきことは他にあるのでは?」そう思われる方もいらっしゃるでしょう。
それでも、自分の中で生まれた大きな問いに向き合わなければ、これから先前に進めない。
それが、これから告白する決断の出発点でした。
ここ数年、障がい者アートを取り巻く状況は大きく変わりました。
作品の価値が認められ、市場に出ていくこと自体は、本来とても喜ばしいことです。
けれど同時に「価格の急激な高騰」や「消費の加速」が先行し、
いつの間にか、この分野までもが短時間での効率や生産性を重視する資本主義の、
過度な競争や格差の構造をなぞり始めてやしないか——
福祉施設をまわり、作家たちと触れ合う中で、明らかに以前とは違った空気を感じ、
その違和感を拭いきれずにいます。
思えば私は、この流れの中で、「表現に値段をつける」ことに躊躇していた時代に、
旗を立てた側の人間です。だからこそ、その“功”も“罪”も含めて、
一度きちんと立ち止まりたい。
このまま走り続けるのではなく、いま何が起きているのか、
何を守り、何を問い直すべきなのかを、言葉にし、次の指針をつくりたい。
それが、今回学び直す理由です。
妹「で、結局なにするの?」
私「簡単に言うとね、障がいのある人の表現を、流行でも商品でもなく、
“文化”としてどう残していくかを考える。」
妹「……あ、それめちゃくちゃ大事っ!。」
私「でしょ?」
妹「でも畑もやるんだよね?」
私「もちろん!」
妹「だよね、だよね〜」汗
大学院はオンラインが中心。これからは、畑と机を行き来する生活になります。
土に触れながら考え、考えながらまた土に戻る。遠回りのようでいて、
むしろワインができる前の今だからこそ、可能な“寄り道”だと思っています。
そして農地では、雪の下で静かに冬を越えたぶどうたちが、目を覚まし始めます。
霜、風、虫、そして人間の思い通りにならなさ。
今年も例年通り、”自然”に振り回される季節がやってきます。
農業をやっていると、よく思うのです。
早く芽を出すものもあれば、ゆっくり時間をかけるものもある。
どちらが正しいわけでもなく、それぞれに季節があるだけだと。
もしかすると今回の進学も、間違いだらけの人生を経て来た私にとっての、
“かなり遅れて芽を出す種”なのかもしれません。
……とはいえ現実は、そんなに詩的でもなく。朝から泥だらけ、夕方には全身筋肉痛。
「今年こそはスマートに!」と毎年言っていますが、ずっときっと無理なのでしょう。
それでも、少しだけ視点を変えながら、畑も、アートも、「これからの形」を、
丁寧に育てていきたいと思います。
もしよろしければ、この少し寄り道の多い二刀流にも、
引き続きお付き合いいただけたら嬉しいです。
さて、新しい季節の始まりです。
皆さまにとっても、良い春となりますように。
それでは今月も、
“SEIZE THE DAY – 今を生きろ”
一般社団法人Arts and Creative Mind 代表理事 杉本志乃
理事 萩中華世
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#農福連携

