「人は、“役に立つ”から価値があるのか?」
7月。北海道にも、濃い緑と強い陽射しの季節がやってきました。自然を見ているといつも思うことがあります。それは、“自然は、誰とも比べていない”ということです。
大きな木も、小さな花も、ただ、そこに在る。でも人間社会はいつの間にか、できるか?生産性があるか?社会的に優秀か?そんな基準で人を測る世界になってしまいました。そして気づけば私たち自身も「役に立たなければ価値がない」という空気の中で生きている。
でも、本当にそうでしょうか。私には、重度の知的障がいを持つ兄がいます。兄は、社会の“普通”という尺度には全く当て嵌まらない存在です。できないことが殆どで、言葉でも伝えられない、けれど兄の存在は、ずっと私に問いかけてきます。「人の価値は、能力だけで決まるのですか?」と。
現代は、速すぎる時代です。成果、効率、数字、比較、気づけば自分の存在価値まで誰かと比べてしまう。でも本来人は、“競争だけ”のために生まれてきたわけではないはずです。誰かに寄り添ったり、安心を与えたり、ただ隣に居たり、そんな、一見「非効率」に見えるものの中に、人間の本質があるのではないか。
私は兄を通して、それを学び続けています。障がいのある人たちは、「守られる存在」だけではありません。むしろ私たちの方が、人として大切なことを思い出させてもらっている。そんな気がするのです。
人は、存在だけで価値がある。これは綺麗事ではなく、本来、人間社会の土台なのではないでしょうか。私たちが目指している活動も、福祉だけが目的ではありません。アートも、農業も、ワインも。その根っこにあるのは、“人間の尊厳”です。その人らしさが、生きる価値として認められる社会。そんな未来を、少しずつでも形にしていきたいと思っています。
2026年7月。社会は今日も、誰かを比べ、評価し、急ぎ続けています。立ち止まらなければ、見えなくなるものもある。「人は、何によって価値が決まるのだろう?」そんな問いを、少しだけ自分自身に向けてみたいと思います。
それでは今月も、
“SEIZE THE DAY – 今を生きろ”
一般社団法人Arts and Creative Mind 代表理事 杉本志乃
理事 萩中華世
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